2015年01月20日
初天神
毎年25日は菅原道真の命日。天変地異を支配した雷神として道真が信仰された。
阪神大震災、こちらでは能登や中越、近くは東日本、それだけでなく、水や風も災害をおこしてきたこの20年。もはや天変地異というより、いつどこで起こってもおかしくない気候変動。被災された方を忘れることなく、教わったことを自分たちが伝えていかなくてはいけない。
今年の一笑ギャラリーは、九谷焼・上出長右衛門窯の湯飲み、常滑・村田益規氏の急須という企画ではじまった。
お正月のしつらえ、床飾りや炭・鈴と並ぶ器は、新年らしく少しの緊張感と清らかな空気に包まれている。
上出氏の作品展は今回が3回目。
はじめて六代目上出惠悟氏の作品をみたのは「花詰のスカル」。ショックとワクワクが同時にあった、という気持ちはどんな言葉で表現すればいいのだろう?
歌舞いている?そうではない脈々とつづくための、そう!染付の青色の炎のようなものを感じた。
それで、ある展覧会で声をかけさせていただいたことが、今の一笑につながっている。
初めての作品展は6年前。長右衛門ならぬ“ちゅう右衛門”「ねずみの翁の作る器」実物と全く同じ形・絵で親指ひと節ほどの小さな器が柱の上まで並ぶ。
九谷焼をはじめてみる旅人。見慣れたはずの地元の人さえも、大切に手にとり上から横から眺めて、細やかな手書きに、ほうとため息をつく。みんな鑑定団のようだ。
九谷焼にふりむかせる上出さんてすごいな、前に感じた青い炎は確信にかわった。
2回目は3年前。会期の数ヶ月前。共通の知人から
「上出くんが、一笑さんの個展のためにって常滑に急須探しにいったよ。」
今度はなにを?またワクワクする。
「急須は常滑が一番きれいだと思います。」そういわれて並んだ常滑の急須と九谷焼の湯飲み。村田氏の急須は、猫のようにしなやかで愛らしく、烏(からす)のように漆黒につやめく。注ぎ口の優雅さ、心地よい蓋との一体感。そこに流れるような九谷の色絵鮮やかな湯飲みと不思議な調和が生まれていた。
今回はその2回目だ。
ティーバッグやペットボトルも今の時代それはそれ。
だけれど、急須で茶葉を通す香り、美味しさ、器から感じるぬくもりを、今年は自分のために、大切な人のために、ひとてまかけてみようと思う。
年明けて少し落ち着いたこの時期、器をゆっくりながめて新年をおもってみませんか?